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この場所で、私は「わたし」に出会う。9年の歳月をかけ完成。世界が心掴まれた、人生観を揺さぶる人間ドラマ『ナギダイアリー』9月25日(金)より全国ロードショー

2026.10.07

何を選び、どう生きていくか ——。
彫刻家の寄子と建築家の友梨。人生に刻まれる、9日間。

ワールドプレミアとなった第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門での公式上映では、約7分間にも及ぶスタンディングオベーションが巻き起こり、「自分らしく生きることの尊さを描いた傑作」、「今年のベスト映画の一本」、「心を奪われた」と海外メディアからも高い評価を集め、日本公開を前に15を超える国と地域での公開が決定している『ナギダイアリー』。

メガホンをとったのは、『淵に立つ』、『LOVE LIFE』、『恋愛裁判』など、独自の映画表現で人間の本質を鋭く捉え、カンヌ、ヴェネチアをはじめ世界的な評価を受ける深田晃司監督。岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・平田オリザの代表作「東京ノート」に着想を得て、監督自ら脚本を執筆。岡山県奈義町をモデルとした架空の町「ナギ」を舞台に新たな物語を紡ぎ、9年の歳月を経て完成させた。

主演を務めるのは、日本映画界に欠かせない名優・松たか子。本作では、癒えない喪失を抱えたセクシュアルマイノリティの彫刻家・寄子を圧倒的な存在感で体現。また、東京から寄子のもとを訪れ、彫刻のモデルを務める友梨役に、いま最も注目を集める俳優のひとり石橋静河。キーパーソンの好浩を松山ケンイチが演じるなど、屈指の実力派キャストが集結した。

多様な価値観や選択肢で溢れるこの時代。自分で何を選び、どう生きていくか――。観る者の人生観を揺さぶる、唯一無二の人間ドラマが誕生した。

STORY

近くの⼭から切り出される⽊でひとり彫刻を作る寄⼦(松たか⼦)。ある⽇、東京と台湾で建築家として活躍してきた友梨(⽯橋静河)は、 数⽇間の休暇をとって、別れた夫の姉・寄⼦のもとを訪れる。

都会にはない「ナギ」での穏やかな⽣活。妻を亡くした寄⼦の幼なじみの好浩(松⼭ケンイチ)、そして息⼦の春樹(川⼝和空)とその親友の圭太(藤原聖)⼈々との出会いは、⽇常に⼩さな揺らぎをもたらしていく。

やがて、彫刻のモデルを毎晩つとめるなかで寄⼦の知られざる喪失に触れ、友梨にも変化が起きていく。

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2026年9月25日(金)より全国ロードショー

『ナギダイアリー』(配給:スターサンズ)
出演:松たか子/石橋静河/川口和空/藤原聖/藤間爽子/水間ロン/申瑞季/松山ケンイチ
監督・脚本:深田晃司
製作:四宮隆史 エグゼクティブ・プロデューサー:大野二郎/Guillaume Morel/Jossette Atayde/Maria Sophia/Atayde Marudo
プロデューサー:大野敦子/長井龍/角田道明 コ・プロデューサー:小山内照太郎/Carine Chichkowsky/陈思恩/佐藤央
撮影:四宮秀俊 照明:加藤大輝 録音:益子宏明 美術:大月由香里 彫刻:吉田愛美 
ヘアメイク:菅原美和子 スタイリスト:荒木里江 衣裳:渡部祥子 キャスティング:吉川威史 
助監督:鹿川裕史 制作担当:山村亘 編集:Sylvie Lager VFXプロデューサー:平野宏治 カラリスト:Sorawich Khunpinij 
音楽:李沛芩 リレコーディングミキサー:Olivier Goinard エンディングテーマ:イーノ・チェン
In association with mk2 Films
助成:Aide aux cinémas du monde – Centre national du cinéma et de l’image animée – Institut français,
文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会, White Light Studio,mk2 後援:奈義町
製作:スターサンズ/八朔ラボ/Survivance/Momo Film Co./Nathan Studio/ワンダーストラック 制作プロダクション:Lat-Lon
2026/日本、フランス、シンガポール、フィリピン/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/カラー/110分/映倫区分:G

 

松たか子、深田晃司監督登壇!大阪先行上映会、舞台挨拶レポート

9月18日、なんばパークスシネマで映画『ナギダイアリー』の大阪先行上映が行われました。上映後には、主演の松たか子さんと深田晃司監督が登壇。映画の余韻が残るなか、岡山県奈義町で過ごした撮影の日々や、彫刻家・寄子を演じる時に考えていたことを語ってくれました。

舞台は、岡山県奈義町をモデルにした架空の町「ナギ」。この町でひとり創作を続ける彫刻家の寄子のもとへ、弟の元妻であり、東京と台湾で建築家として働く友梨がやって来ます。かつて義理の姉妹だった二人は、寄子が友梨をモデルに彫刻を作る九日間をともに過ごします。

寄子には、すでにこの世を去った女性との記憶があります。友梨も仕事や結婚をめぐり、言葉にし切れない思いを抱えています。若くして妻を亡くした寄子の幼なじみ・好浩、その息子の春樹と親友の圭太も、それぞれの時間を生きています。誰かの人生だけを大きく取り出さず、同じ場所で暮らす人たちの距離が緩やかに変わっていく。その変化を、山や畑、風や光とともに見つめる映画です。

深田監督は、平田オリザの戯曲『東京ノート』に着想を得て脚本を書き、2016年の企画始動から約九年をかけて完成させました。第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、公式上映では約七分間のスタンディングオベーションを受けています。

松さんは撮影前、彫刻家のアトリエを訪ね、デッサンから粘土、木彫へ進む制作の過程を学びました。彫刻は細部を順番に作り込むものだと思っていたところ、「骨格を捉える」「面で捉える」と教わったそうです。最初に髪の毛一本一本を見るのではなく、粘土を面として置き、そこから人物を浮かび上がらせていく。

その感覚は松さんの演技にも重なります。最初に受け取った人物の印象や、人との距離をつかみ、細部は現場の関係のなかで育てていく。寄子という人物の事情を強く押し出すことにも、何も意識せず演じることにも違和感があったといいます。さまざまな思いを抱えてナギを訪れた友梨に「こっちにおいで」と手を差し出すのも違う気がして、ただ彼女を眺めていた、と語りました。

完成した映画を初めて観た時、松さんは自分が「ちょっとヘラヘラしすぎたんじゃないか」と心配になり、何人かに「寄子、大丈夫ですかね」と尋ねたそうです。それでも、友梨が寄子に「ずるい」と伝える場面によって、その曖昧さも人物の一部になります。松さんは「ヘラヘラしていても生きてはいけると思ってもらえたら」と話しました。

この言葉が心に残りました。喪失を抱えた人が、いつも悲しみに沈んだ顔をしているとは限りません。笑い、食べ、冗談を言い、仕事を続ける日があります。深田監督も、寄子は演じ方によって重く痛々しい人物になり得たと語り、松さんが生活を楽しむ一人の人間として「期待以上の按配」で演じてくれたと称えました。寄子の笑顔には、痛みを抱えたまま今日を暮らす人の知恵があります。

奈義町での撮影中、松さんと石橋静河さんは隣同士で暮らしていました。スープを多く作れば届け、ご飯を多く炊けば分け合う。松さんはそれを「日々を生き抜くための助け合い」と呼びました。地元の方が用意してくれた炊き出しを持ち帰り、別の料理へ作り替えながら、自分に必要な量を考えて暮らしたことも楽しそうに話していました。映画の外側でも、二人は寄子と友梨に通じる時間を生きていたのでしょう。

松さんが好きな場面として挙げたのは、春樹役の川口和空さんと圭太役の藤原聖さんの姿でした。撮影から一年を経た二人はすでに成長し、映画のなかには昨年の春にしか存在しなかった表情や身体、戸惑いさえ感じさせない堂々とした姿が残っています。松さんはそれを「その時だけの輝き」と呼びました。彫刻は木のなかに形を残し、映画は二度と戻らない時間を残します。

深田監督が好きだと語った山菜料理の場面にも、脚本だけでは決められない松さんと石橋さんの個性や関係が映っています。俳優が役を生き、同じ土地で食べ物を分け合った時間が、何げない手つきや視線となって画面に現れます。

他人の評価と関係なく好きなものを尋ねられると、松さんは裁縫を挙げました。子供の服や必要なものをミシンで作り、生地や端切れを眺めながら「これで何を作ろう」と想像する時間が好きだといいます。「誰にも邪魔されたくない。邪魔しないで」と笑った瞬間、世界的な映画祭の舞台に立った俳優が、布に触れ、手を動かす一人の生活者へ戻りました。

彫刻家の寄子も、俳優の松たか子さんも、素材や人を見つめながら、まだ存在しない形を思い描きます。完成へ向かう前の時間、誰かの顔を眺めること、食事を分け合うこと、言葉にならない気持ちを抱えたまま同じ場所にいることも、創作の一部なのでしょう。

『ナギダイアリー』に刻まれているのは、九日間に起きた出来事だけではありません。人は誰かを完全に理解できなくても、そばにいて、眺め、食べ物を分け、同じ時間を過ごせます。松さんの穏やかな語りを聞きながら、この映画が残したものは、人と人の間に生まれる、説明し切れない手触りなのだと思いました。

 

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