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村上春樹の名作短編小説が待望の映画化。〈人生で一番大切な人〉に会いたくなる希望の物語『ハナレイ・ベイ』は10月19日(金)より全国ロードショー
その女性は毎年のようにカウアイ島の美しい湾ハナレイ・ベイを訪れる。死んだ息子と向きあうために、自分の気持ちを知るために。そして10年目の年、彼女の心が動いた――。
時代に刻まれる名作・話題作を発表し続ける作家、村上春樹。映画『ハナレイ・ベイ』は、世界が注目してやまない彼の珠玉の短編小説の映画化だ。2005年に発表され、単行本と文庫本あわせ累計70万部を超えるベストセラー『東京奇譚集』(新潮社文庫刊)の一篇である「ハナレイ・ベイ」は、サーフィンに明け暮れる思春期のタカシとシングルマザーとして彼を育ててきたサチの姿を描いた物語。わずか42ページに綴られたその物語が、原作と同じハナレイ・ベイを舞台に実写として映し出される。
ひとり息子のタカシをサーフィン中の事故で失くしたサチは、毎年、命日になるとハナレイ・ベイを訪れ、海辺の近くの大きな木の下で過ごす。そして10年目の年に、2人の若い日本人サーファーと出会い、彼らから"片脚の日本人サーファー"の話を聞く。それはタカシなのか……。なぜ、自分には見えないのだろうか……。いちばん身近な存在であるのに、生きている間にその存在を実感できなかった母親が、息子と、そして人生と向きあう姿を描いていく。
主人公のサチを演じるのは吉田羊。近年、主演から脇役まで目覚ましい活躍をみせ、数多くの映画やドラマに出演する彼女が、息子を失くした母親サチを圧倒的かつナチュラルに演じている。サチの息子タカシを演じるのは佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)。主演作『虹色デイズ』(18)など俳優としてめきめきと頭角を現す彼の新しい一面を目にするだろう。また、サチがハナレイ・ベイで出会う日本人サーファー高橋には、抜群の完成と自然体な演技で注目されている村上虹郎が選ばれた。監督は『トイレのピエタ』(15)で多くの批評家から絶賛され、日本映画界の新説として期待を集める松永大司。
魅力的な唯一無二の個性をもったキャストとスタッフが結集、誰もが自分にとって一番大切な人に会いたくなる、やさしくも力強い日本映画『ハナレイ・ベイ』が、いま映画史に刻まれる。
STORY
シングルマザーのサチ(吉田羊)は、息子のタカシ(佐野玲於)がハワイのカウアイ島にあるハナレイ・ベイで亡くなったことを電話で知らされる。大好きだったサーフィン中に大きなサメに襲われ死んだという。彼女は、彼が命を落としたハナレイ・ベイへ向かい、海辺近くの大きな木の下で読書をして過ごした。毎年、この「行為」は続いた。同じ場所にチェアを置き、10年間。だが、彼女は決して海には近づかない。ある日、サチは2人の若い日本人サーファーと出会う。無邪気にサーフィンを楽しむ2人の若者に、19歳で亡くなった息子の姿を重ねていくサチ。そんな時、2人から"ある話"を耳にする。「赤いサーフボードを持った、片脚の日本人サーファーを何度も見た」と…。サチは決意する。もう一度、息子に会うために─。
2018年10月19日(金)より、全国ロードショー
『ハナレイ・ベイ』(配給=HIGH BROW CINEMA)
原作:村上春樹「ハナレイ・ベイ」
監督・脚本・編集:松永大司
キャスト:吉田羊、佐野玲於、村上虹郎、栗原類、佐藤魁
2018年/日本/英語/カラー/5.1ch/98分/