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韓国からカナダへ。異国の地で生きる痛みと孤独を、母の愛が静かに照らし出す――『Riceboy ライスボーイ』は4月3日(金)より全国順次公開。

「最初から最後まで美しい」「涙が止まらなかった」——
母と息子の記憶を16mmフィルムで紡いだ、まばゆい感動作!
監督・脚本を手がけたのは、自身も8歳で韓国からカナダに移住した経験を持つアンソニー・シム。1990年代のカナダを舞台に、移民としてのアイデンティティの揺らぎ、親子の葛藤と再生を、16ミリフィルムの柔らかな質感と共に繊細に描いた。
トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペティション部門で最優秀賞を受賞し、釜山国際映画祭の観客賞やカナダ・アカデミー賞の最優秀脚本賞など世界中の映画祭で31の賞を受賞、20以上の部門でノミネートされ話題となった。
個人の記憶に根ざしながらも、誰もが共感できる痛みと、その先に差す光をすくいとった、静かで力強い作品が誕生した。
STORY1999年。あなたの本当の想いに触れて、僕は僕を知った。
ざらついた記憶に宿る故郷の景色と、母の無償の愛——
若くして恋人を亡くし未婚の母となったソヨンは、赤ん坊の息子ドンヒョンを連れてカナダのバンクーバー郊外へと移住する。ソヨンは工場で働きながら、言葉や文化の壁、人種差別に直面する日々の中、懸命に息子を育てていく。
やがて16歳となったドンヒョンは英語名“デービッド”を名乗り、すっかりカナダでの生活になじんでいた。しかし、彼の心の奥底では自身のルーツ、特に一度も会ったことのない父親の存在への思いが次第に募っていく。
そんなある日、二人に届いた衝撃的な知らせをきっかけに母と息子は初めて韓国へ帰郷し、悲しみの過去と対峙することになる――。
DIRECTOR’S STATEMENT
アンソニー・シム (監督・脚本・編集・助演)
私の家族は1994年に韓国からカナダに移住しました。私はその時、8歳でした。
移住先のバンクーバー島では、私が学校で唯一のアジア人であることがほとんどでした。好奇の目で見られ、異星人のように扱われました。私の「異質性」が、周りの人の好奇心を掻き立て、時には怖がらせることすらありました。
それでも私は、マジョリティである白人コミュニティに受け入れられたいと切実に願っており、その社会にすぐさま適応したのです。周りの人と同じように振る舞い、話し、時には思考さえも似せようとしました。
時が経つと、私は自分のルーツである韓国の食べ物や、言語、文化、そして家族をも恥じるようになったのです。自分の中の韓国にまつわることを何もかも隠そうとしました。うまく隠せば、異質な存在として見られなくなると思ったのです。
しかしそれと同時に、自分でも驚いたのですが、韓国への深い感謝の気持ちや純粋な愛情、そして困ったことに、韓国に関するあらゆるものへの飽くなき好奇心を育んでいたのです。
どうしてこんなことが起こるのでしょう? 1つの身体の中で2人の人間が対立しながら成長していました。大人になったある日、鏡に映る自分に問いかけました。「私は誰だ? 何者なんだ? 韓国人なのか? カナダ人なのか?」と。
それから、父が末期の病にかかり、私は自分の家族以外の存在に馴染まなくてもいいと思うようになりました。父が亡くなった時に初めて、私は子ども時代を振り返り、自分が何者だったのかを理解できました。対立する2つの文化の中で、労働者階級の移民の両親に育てられた存在だったのです。
私は一体何者なのか? 私は純粋な韓国人でもカナダ人でもありません。その2つが混ざり合った韓国系カナダ人(Korean-Canadian)です。この間をつないでいるハイフンに意味があると思っています。このハイフンこそ、私たちには他者と共有し、称えるべき独自の文化や伝統、歴史があるということを示しています。
北米や他の国々で、私と似たような痛みや苦悩を経験したハイフンでつながれた人たちに、感謝の意を示したい。この映画はそういった想いを込めて作りました。
2026年4月3日(金)より全国順次公開
『Riceboy ライスボーイ』(配給・宣伝:カルチュアルライフ)
監督:アンソニー・シム
出演:チェ・スンユン、イーサン・ファン、ドヒョン・ノエル・ファン、アンソニー・シム 他
原題:Riceboy Sleeps |カナダ|2022年|117分|カラー|英語・韓国語|フラット|5.1ch|PG12
日本語字幕:島﨑あかり|字幕監修:稲川右樹|後援:カナダ大使館

