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父のめいっぱいの愛と、皆の暖かい手で、僕は大人になったー。不朽の名作、重松 清「とんび」待望の初映画化。『とんび』は4月8日(金)より全国公開中。

Editing by Design Studio Paperweight INC

2022.04.10

阿部 寛×北村匠海、新たな"とんびと鷹"で、
『糸』『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が贈る、
いつの世も変わることのない親子の絆を描く"家族の物語"

幾度途切れても必ず繋がってゆく親子の絆を描く、直木賞作家・重松 清によるベストセラー小説「とんび」。今、この時代にこそ届けたいと、初映画化が実現した。

日本一不器用な男・ヤスは、愛する妻・美佐子の妊娠にも上手く喜びを表せない。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、"家族"は何よりの憧れだった。時は昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。アキラと名付けた息子のためにも、運送業者で懸命に働くヤス。だが、ようやく手にした幸せは、妻の事故死によって打ち砕かれる。悲しみに沈むヤスだったが、人情に厚い町の人々に叱咤激励され、彼らの温かな手を借りてアキラを育ててゆく。時は流れ、高校3年生になったアキラは、東京の大学を目指し合格を勝ち取る。だが、別居の寂しさも相俟ってヤスは、「一人前になるまで帰って来るな!」とアキラを突き放す。そして昭和63年、久々に再会したヤスと大人になったアキラだったが―。

主人公の、破天荒ながら愛すべき父・ヤス役には、『テルマエ・ロマエ』「下町ロケット」などの大ヒット作で、圧巻の表現力と存在感を放つ阿部 寛。ヤスの息子・アキラ役には、若手実力派の中でも突出した才能を発揮する『君の膵臓をたべたい』『東京リベンジャーズ』の北村匠海。幼い頃から弟のようにヤスの面倒を見てきた小料理屋女将のたえ子役に薬師丸ひろ子、成人したアキラが結婚を決意する由美役に杏、ヤスの幼馴染みでいつもやり合いながらも互いに深い信頼を寄せる照雲役に安田 顕、アキラを実の子のように可愛がる照雲の妻・幸恵役に大島優子、ヤスの妻・美佐子役に麻生久美子と、豪華キャストが集結した。

監督は、多くの深遠な物語をエンターテイメントとして昇華させてきた瀬々敬久。映画オリジナルとなる令和のエピソードを加え、昭和の時代に確かにあった人と人とが相手を思いやる温かな絆は、形が変わることはあっても必ず未来に繋がってゆくことを描き出す。さらに、家族とは血縁だけではなく、同じ記憶や体験を共有する者たちのことでもあると、観る者の心へ届けてくれる。『糸』『64‐ロクヨン‐』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』など、日本の映画史に残る名作を共に作り上げた瀬々組のスタッフが、60年にわたる日本の様々な世相、文化やファッション、人々の暮らしを徹底的なリサーチのもと、穏やかな瀬戸内海を臨む岡山県を中心としたロケ地に蘇らせた。

脚本は、『宮本から君へ』『MOTHER マザー』などで評価の高い港 岳彦が担当。原作に忠実に、かつオリジナルの要素なども盛り込み、映画ならではの物語に仕上げた。音楽は、『思い出のマーニー』『護られなかった者たちへ』など幅広い作品を手掛ける村松崇継が担当。繊細でありながらダイナミックな音楽で物語を盛り上げた。さらに、日本中に愛と勇気を与え続けるアーティストゆずにより書き下ろされた主題歌「風信子」(ヒヤシンス)が、エンディングを彩る。

これは、古き良き時代の物語にとどまらない。新たな時代への希望を予感させる《今、そして未来へ繋がる家族の絆の物語》。

STORY

昭和37年、瀬戸内海に面する備後市。運送会社に勤めるヤスこと市川安男(阿部 寛)は、もうすぐ子供が生まれるという喜びを戸惑いながらもかみしめていた。ヤスも妻の美佐子(麻生久美子)も早くに両親と別れていたが、酒飲みで喧嘩っ早いが真っすぐで陽気なヤスと、"ヤスには過ぎた奥さん"の美佐子は、町の誰からも愛されている。

遂に待望の息子が誕生、旭(アキラ)と名付けた。「とんびが鷹を生んだ」と町の人々に囃されるほど愛らしい息子と美佐子と、初めての幸せに包まれるヤス。ところが、アキラが3歳になったある日、美佐子が突然の事故で亡くなってしまう。

ヤスとアキラの二人きりの暮らしが始まるが、ヤスの姉代わりで小料理屋・夕なぎの女将のたえ子(薬師丸ひろ子)や、ヤスの幼馴染みで薬師院の跡取り息子・照雲(安田 顕)と妻の幸恵(大島優子)らが、アキラを我が子のように可愛がってくれる。

だが、未だ悲しみが癒えないヤスは、照雲の父で住職の海雲(麿 赤兒)に、その想いをぶつける。すると海雲は雪が降る中、ヤス親子と照雲を夜の海へと連れ出し、アキラにどんなに父が抱きしめてくれても、背中を温めてくれる母はいない、その寒さを背負うことがお前の運命だと諭す。同時に自分と照雲のように、母親の代わりに温めてくれる者が大勢いると励ますのだった。

その日からヤスは、「お前は海になれ」―雪が降っても黙って呑み込む広い海のようにアキラに悲しみを降り積もらすな―という海雲の言葉を胸に、懸命にアキラを育ててゆく。だが、母の死の真相を知りたがるアキラに、ヤスは一度だけ大きな嘘をついてしまうのだった。

昭和55年、高校3年生のアキラは見事に東京の大学に合格。アキラ旅立ちの朝、ヤスは「一人前になるまでは二度と帰ってくるな!」と強がる一方で、どうしようもない寂しさを隠せなかった。

時は流れ、昭和63年、初めて東京の地を踏むヤス。ある重大な目的を果たし、帰ろうとするヤスのもとへ、出版社に就職したアキラが駆けつける。アキラは由美(杏)という女性を紹介し、結婚の意志を告げ、久々に再会したヤスを愕然とさせる。困惑を隠せないヤスであったが―。

 

2022年4月8日(金)全国公開

『とんび』(配給=KADOKAWA イオンエンターテイメント)

監督:瀬々敬久
出演:阿部寛/北村匠海/杏/安田顕/大島優子/濱田岳/宇梶剛士/尾美としのり/吉岡睦雄/宇野祥平/木竜麻生/田中哲司/豊原功補/嶋田久作/村上淳/麿赤兒/麻生久美子/薬師丸ひろ子
脚本:港岳彦 
音楽:村松崇継
主題歌:ゆず「風信子」
原作:重松清「とんび」(角川文庫刊)
2022年製作/139分/G/日本

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